第2実戦 「改善」

魂の1回転 vol.8

青空と農道とドリップコーヒー


口の中に残るコーヒーの苦味をたしかめながら、しばし青空を眺めています。少し前、インスタントコーヒーを飲む感覚で豆を挽いてドリップしたものを、さらりと口に流し入れました。

「ぅうっ」

口に含んだ瞬間、強烈な渋みのような刺激に思わず吐きだしそうになりましたが、吐くのはこらえました。気構えの不足を感じながら舌中、舌根、頬とゆっくり味を確かめていると濃厚な苦味だと気付きます。その苦味にはうま味も混じっていて、飲み込んでからしばらくたってもしっかりと味が残っています。

ボトル缶に鼻を近づけ匂いを嗅ぐと、確かな香ばしいコーヒーの香りが鼻腔をかけぬけました。この臭いをなぜ飲む前に気づけなかったのだろう?


眼前に広がる青空には、立体感のある小さな雲が3つ、4つ浮かんでいます。水色が一色で広がっていると思っていましたが、じっくり眺めていると意外と少ないことに気づきました。6割ほどは白色か、白色に近い淡い水色です。

ミンミンゼミの鳴き声が、背後の林から聞こえます。ときおりカラス、スズメもやってきて、さらにヒグラシの鳴き声も聞こえます。林がつくる陰に入っていることもありますが、鳥やヒグラシのおだやかな鳴き声で涼しく過ごせています。


なるべく人が来ないところにバイクを停めましたが、ウォーキングで2人通っていきました。半袖、短パン、首にタオルを巻いた男の老人。左足のサポーターに暑さの残る陽ざしを受けて闊歩していきました。もう一人は、女の老人。林に沿って日陰の道をすれ違うところまできたところで、元の道へ戻っていきました。

挨拶をかわす気分ではなかったので、歩く向きに合わせスマホを見ているふりをしてやり過ごしました。

あと15分、5時になったら出発します。スマホのデジタル時計の数字を見ていたら、“まだこれだけしか経っていない”、逆に“もうあと15分か”と相反する想いが現れ、不思議な気分です。

楽しむための試みに関して

魂の1回転、第2実戦の日を迎えています。勝負を楽しいものにするために、農道の木陰にバイクを停め、イメージの確認と気分の調整をしていました。


レバーは、何回も叩けません。1回のみです。気乗りせずなかなか進まないサイト制作を心血をそそぎ1ヶ月しっかりと行い、魂を込め1回だけレバーを叩く。戦い直前、レバーオンにむけて仕上げの調整です。


この1回のレバーオンは思いきり楽しみます。思いきり楽しむために、いくつか試みを設けました。第1実戦は、設けた試みにのっとり、とりあえずの納得のできる勝負となりました。


ですがこの1ヶ月、サイトを制作する中で、設けた試みを改善した方がよいと感じるようになりました。

改善をしなかったとしたら由々しき事態を招く、、そう感じています。

農道の木陰のパッカー

改善をしない場合に招くもの

改善をせずそのまま実戦を行うことで招くと感じる由々しき事態とは、「目標不達」です。

目標をつかむための試みで目標不達になってしまっては本末転倒、なにより“目標に到達できない”は、あってはならない、なにがなんでも避けなければならないものです。

そう思うことで日々に張りが出るということもありますが、楽しい未来のために、受け入れることは断固として拒まなければいけません。

気分を整える場所

第1実戦では、細かなルール、イメージの最終確認、気分も含め直前の調整を店で行いました。

“魂”を思いつく以前、日にレバーを8000回とたたいて得ていた高揚を、“月1回”で同じだけのものを得る。一見、不可能に感じるこの切り替えを素で成立させ、“月1回”という新しいスロットとの距離感に依存する。


ギュッっと凝縮したものに同じ熱さを得るために、ルールを決めました。

その中の1つに“アイドリングのような時間を設け、ゆったり気分を高める” (ルール8、12)があります。



第1実戦では、店内の休憩スペースでかなりゆったりと過ごしました。この間、台を確保していますが遊技はしていません。これは、確保していなかった場合に他の客が回す売上を得る機会を、店から奪うことになります。

”トイレ・休憩等、台を離れるときは声をかけ30分以内”、店により決まりがあります。とはいえ、これは何回転も回すことが前提です。30分あれば売上はそれなりの金額になります。第1実戦では声をかけていませんが、30分以内で台に戻ってはいます。ですが、台を確保して戻ってきてから回すのは1回転です。


またこの間でも、はやく回したいと確保された台の開きを待つ他の客がいるかもしれません。イメージ確認、気分の調整で、他の客の楽しい機会も奪っているかもしれません。


少し話はそれますが、客が”1回転にかける時間”に明確な決まりはありません。日に8000回でも1回でもよく、イメージを30分で済ませその後台に陣取り、魂を込めることにたっぷり時間をかけ1回転だけ回すのも自由です。もちろんこんなことを行う気はありませんが、決まりの上では問題はないということです。


ですが、魂の1回転で使う金額は65円です。店は電気を使ってリールを回し照明を灯し、その他にも諸々の経費がかかっています。1回転にかける時間に決まりがないとはいえ、経営が成り立つ範囲なことは暗黙の決まりであり、これを理解できないのであれば個で事業を営むにはまだ時期尚早です。大声で叫ぶことが自由だとして、深夜早朝に住宅街で叫ぶのは自由ではありません。自由という言葉には、なにかの範囲においてといった意味が最初から含まれていることを忘れてはいけません。

そもそも1回転しか回さないといった楽しみ方は、それをやりたいといった打ち手個人の想いのものです。長時間にわたり台を確保し65円で店の経営に圧迫をかけ、他の客には楽しい機会を奪ことで店への足を遠のかせ、個人の思いを通し招くものは明白です。経営の破綻を呼び寄せる行いは、避けなければいけません。

目標をつかむための核である魂の1回転なしでのサイト制作がどういったものかは、以前の放置サイトで学んでいます。店があっての魂の1回転です。

店でゆったりと気分の調整・イメージの最終確認を行うことは、店やサイト作りの核“魂の1回転”を失うことに繋がります。結果、目標にたどり着くことは”ない”となります。


収支

第1実戦では、収支をつけていません。

これまでのスロット人生では、頭の中のなんとなくの感覚だけでやっていました。感覚だけでは、勝ったのか負けたのかは曖昧になります。曖昧を積み重ねて得るものは、無意味な時間の浪費現実の逃避です。

金に対する感覚がおおらかなことで、その結果、借金の放置、税金の滞納がおこります。同時に、睡眠はじめ生活習慣・食バランスの乱れも併発し、そのことにより身体のエイジングが加速します。薄毛や体力の低下といった望まない症状はもちろん、非モテなパッとしない日常と向き合うことになります。


改善点

スロットを回しに訪れた、他の客の楽しい機会を奪いたくはありません。もちろんスロット店の経営の邪魔もしたくはありません。その上で、目標にたどり着くために試みの改善を行いました。

改善点は3つです。

農道のパッカー



店以外で行う

気分調整、イメージの最終確認を行う場所は、スロット店では行わないようにする。
家では気分の切り替えがいまいちな気がするので、どこか別なところになります。またその場所は、誰の迷惑にもならないところです。

今回は、小さな林沿いの農道で行いました。

収支をつける

実践での金の動きを明確にし形に残すことは、より魂を込めた1回転に繋がります。その分そそがれた魂でのレバーオンにより、楽しさが膨らむことで新しい依存先への切り替えは強固なものになります。

強固になった新しい依存とサイト制作を並行して行うことで、叶えたい目標をその手にできると考えています。

ドリップしたコーヒーを楽しむ

1ヶ月ほど前、Amazon からコーヒーミルが届きました。給付金はスロットではなく無事コーヒーミルに使うことができました。

フィルターとドリッパーは100円ショップで買いました。豆を挽き、そしてドリップと、でかける直前にコーヒーを淹れました。人生初の豆挽きです。豆の量、湯の量・温度、すべてネットの情報がたよりです。

農道の日陰にバイクを停めヒグラシの鳴き声を聞き、実戦直前の気持ちを整えながらドリップコーヒーを飲みました。新しく買ったミルにとってのハナタレは期待の上をいく濃厚さで、前回の実戦に持って行ったインスタントとの違いにびっくりしました。 ミルを使って淹れたコーヒーは、1回転の楽しさを深めてくれたと感じています。


実践結果

店には5時過ぎに着きました。前回とは違う店、少し前までよく通っていた、月下雷鳴との戦いでオーバーヒートした店です(ピキィーン♪「きたか!?」)。 駐車場には車が少なく、車の止まっていない地面の白い枠線の上をカラスが2羽のんびりと歩いていました。

狙い台の島には他の客は3人、コロナの影響とはいえずいぶん少なく感じます。台は選び放題ですが、狙いは前回と同じ機種、決まっています。台の履歴をみると、前日のボーナスB11、R2。当日0回転、朝一台です。出目は、左上に黒、中央に黒、右の中段に赤。

借りたコインが下皿に落ちるのを確認後、 イメージの確認をしたくなり店の外に出ました。手短に済ませようとしたこともあり、そわそわとしてイメージがうまくできませんでした。気持ちを整えるため四つ折りにした更半紙に”仕事でありギャンブル。ウキウキ、熱く”とメモしました。

マスクをつけ店内に戻り、確保した台に腰掛けました。左右の膝を並行、骨盤の立ちを意識しています。パネルランプの消灯後、再点灯のタイミングに合わせてコインを投入できました。298/300のハズレを“熱”で交わす。その瞬間だけは“仕事ではなくギャンブル”。冷房の心地よい空調に包まれながら20秒数え、今回はワクワクしながらうまくレバーオンできました。 ほんの少し、がっつりではない方の“遅れ”を感じた気がします。

今回も第一停止は左上段に黒狙いです。ですが、遅れのような感触にドキドキしたためかタイミングが早く、3連青の一番上が下段に止まりました。消灯はありません。もし遅れていたのなら、1確。ビック濃厚です。すぐ近くの出入り口の戸が開き、ゆるい風に乗って柑橘系の甘い芳香剤の香りがほんのりと漂ってきます。

今回は、いさぎよくハサミにしました。ドキドキしながら右上段に青を狙いストップボタンを押しました。消灯はなく、中段にピタリと青が止まりました。中には何が止まったのか覚えていません。結果はハズレです。

収支
投資   3枚 
回収   0枚
差枚  -3枚  トータル差枚(-6枚)

今回は1000円が、500円玉1枚、お茶のペットボトル2本、缶コーヒー1本、うまい棒サラダ味1本になりました。今回も勝負は負けました。少額で申し訳ない気分をのぞけば、清々しい気分で店を後にすることができました。


たとえば、グビグビ飲むインスタントコーヒーとちびちび飲むドリップコーヒーがあったとします。喉の渇きを潤す水は別でたっぷりある状態です。

スロットを次々と回したいといった渇きは、サイト作りの高揚で十分補給できます。少量のたしなみで優良な満足を得ることができるドリップコーヒーのように、濃厚な1回転で然るべき満足ができる。帰り道の少し暗くなった農道を走る中、そんな気がしました。



 









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